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  • 執筆者の写真武内一広

歯ぎしりしていませんか?


そんな悪い癖がお口で起こることをご存知ですか??


一デンタルパーク武内です。 今回は歯ぎしりについて一緒に考えてみましょう。



あなたの歯ぎしりはどれ?

①歯と歯が当てて「カチカチ」

②グーっと噛みしめて「ギーギー」

③歯をこすり合わせて「ギリギリ」

こんな表現で表される歯ぎしりがきっかけで体にはいろんな悪影響があります。


「歯のつめ物が頻繁に取れてしまう」 「知覚過敏で冷たいものが歯にしみる」 「朝起きると、顎が疲れている」


このような経験をお持ちの方はいらっしゃいませんか? もちろん、まったく別の原因で起こっているかもしれませんが、実は、歯ぎしりや食いしばりが原因で上記のような症状が出ることもあるのです。

歯ぎしり・食いしばりとは?

「歯ぎしり」といってイメージされるのは、眠っている時に行う癖としてではないでしょうか? 無意識のとき、ギシギシ、ギリギリと音を立てて歯をすり合わせる行為が当たります。


実は音だけが不快なのではなくあなたの体にも悪影響を及ぼしてしいるといったら驚くでしょうか?

人の噛む力の強さは、自分の体重程度の力と言われておりますが、無意識では力の調整ができないため、歯ぎしりでかかる力は、100kg以上になる方もいるといわれております。

歯や顎に異常な負担がかかり、痛みが出たり歯が割れるといった症状がでてしまうのもご理解いただけるのではないでしょうか?

むし歯や歯周病だけではなく、あなた自身であなたの歯を壊してしまわないように歯ぎしりや食いしばりの力から、歯を守ってあげる必要があるのです。


あなたは歯ぎしりしていますか?

70%以上の方は「歯ぎしり」「食いしばり」をしていると言われています。


気づいている方はどれほどいるでしょうか?

診察に来られる患者さんの中にも、明らかに歯ぎしりや食いしばりの兆候が見られる患者さまがたくさんいます。


ですがそれを指摘しても「えっ?私、歯ぎしりしてますか?」と知らない様子がほとんどです。


無意識での歯ぎしりや食いしばりは、成人の約70%以上が行っているともいわれておりますが、それを自覚して対処している人はまだまだ少ないように思います。 日々、過酷な環境で機能してくれている歯がダメになってしまう前に、なるべく早く症状に気が付いて歯を守ってあげましょう。

ちいさなお子様も、歯ぎしりをします

「子どもが夜、歯ぎしりをしているんです…」 「ギギー」っと音がするとびっくりされる方も多いのではないでしょうか?

お子様の歯ぎしりを心配されたお母さまから、このようにご相談を受けることがあります。

小学生ぐらいで生え変わりの真っ最中、乳歯と永久歯がバラバラのとき、歯ぎしりをすることで噛み合せのバランスを調整していると言われております。

つまり、子供の成長過程では歯ぎしりは悪者ではなくて、必要なものなのです。

あまりにも歯がすり減ってしまったりいつまでも歯ぎしりが続くような場合は、相談していただきたいと思います。


ですが、ほとんどの場合、お子様の歯ぎしりは心配することはありません。

歯ぎしり・食いしばりの3つのタイプ

一言で「歯ぎしり」「食いしばり」と言っても、その歯の合わせ方によっていろいろな種類があります。 下記のうち、歯や顎に大きなダメージを与えてしまう傾向があるのが「グラインディング」と「クレンチング」タイプです。 特に「クレンチング」は歯へのダメージが最も大きく、最近増加傾向にある症状ですので、気になる方は、まずはご相談にいらしてください。

ブラキシズムの種類
歯ぎしりのタイプは3種類

1 グラインディング(歯ぎしり)

一般的に「歯ぎしり」というとこのグラインディングを指すことが多いです。

上下の歯を強く噛んだ状態で横に滑らせこすり合わせるため、ギシギシギリギリと音がする場合が多く、比較的周りの人に気が付いてもらいやすい症状と言えるでしょう。

お口の中を拝見すると、歯の「すり減り」が激しいのが特徴で、進行すると歯の表面の硬くて白いエナメル質が削れてしまい、中の黄色い象牙質の部分が見えてしまうほどの人もいます。

また、歯は上下の力に対しては比較的強いのですが、横に揺さぶられるには弱いため、歯槽骨へのダメージも大きくなってしまいます。 症状が進行してしまう前に、早めの対策をすることが必要です。


グラインディング
ギリギリと音がするグラインディング

【歯ぎしりを引き起こすものは?】

ほとんどの人は、夜間に歯ぎしりをしていると言われております。

人間が歯ぎしりをする原因はさまざまですが、その大きな要因として「ストレス」が挙げられます。

本来、動物にとって「噛む」という行為は、相手を攻撃する行為。敵に遭遇するという最大の不安ストレスに対し、攻撃的に噛むという行動を発現することによって、ストレスを発散していると言われています。

人間の場合も、社会の中でさまざまなストレスを受けておりますが、ほとんどの場合がその場で発散させることができないため、精神領域にどんどんと蓄積されていきます。しかしながら、そのようなストレスの蓄積は、生命維持にとって重大な問題につながってしまうため、防衛本能として、睡眠中に歯ぎしりをすることでストレスを発散し健康を維持しているものと考えられているのです。 つまり、歯ぎしりをできないようにしてしまうと、ストレスの発散が正常に行われなくなり、逆に体にさまざまな悪影響を生じさせてしまうことになりかねません。

まずは歯ぎしりしていることに気づいて、悪影響を緩和して歯を守ってあげることではないでしょうか?

歯を守るためのマウスピースを作成し、睡眠時に装着していただくことをおススメしております。 2 クレンチング(食いしばり)

一般的には「食いしばり」や「咬みしめ」と表現されるタイプで、上下の歯をギューッと強い力で噛みこむタイプです。

このタイプの特徴は、夜、寝ている時にもそうですが、昼間でも起こるという事です。

また、ほとんどの場合は音が出ませんので、周りの人も本人も、気が付きにくいタイプと言えるでしょう。

クレンチングをしている人は、頬の筋肉に力が入るため堅く膨らんで見えたり、お口の中に骨隆起と呼ばれる、骨が膨らんでできたコブのようなものがあったりします。 また、歯が割れやすいという方も、このクレンチングタイプの方に多く見られます。


クレンチング
ギュッと噛み込むクレンチング

噛む力の大きさよりも怖い、「噛む時間の長さ」

正常な人の場合、普段リラックスをしている時は、上下の歯は接触しておらず、2-3ミリほど離れている状態にあります。

実は1日の中で上下の歯が当たっている時間は15分です。

しかし、食いしばりの癖がある方は、常に歯を噛みしめている状態ですので、歯や歯茎、顎などに大きな負担がかかってしまうのです。

本来15分だけ当たってるものに対して、それ以上当たることで歯にとって悪い力がずっとかかることになります。


今、思いっきり歯をかみしめてみてください。

何秒ぐらい噛みしめ続けることができますか?


続けられても5秒ほどではないですか?



歯にかかる力を計算するときに、噛む力×噛んでいる時間を使うことがあります。


まず人間の噛む力体重とだいたい同じと言われております。

思いっきり噛んだ状態で5秒というと、体重60kgの方は、60キログラム×5秒=300キログラムが歯にかかる力となります。

次に、リラックスして噛む力をその6分の1ぐらいにして噛んでみてください。

これだと何秒ぐらい噛みしめ続けることができますか?


1分でも2分でも噛みしめ続けることができるのではないでしょうか?

そうすると、その場合の歯にかかる力は、 10キログラム×60秒=600キログラム となり、思いっきり歯を噛んだ状態での力よりも非常に大きな力となります。


食いしばりというのはは、この状態が無意識で続けているわけです。

これが毎日続いていたとしたら歯へのダメージがどれほどのものかがお分かりいただけるのではないでしょうか?

このような力から歯を守るためにも、ますはご自身の食いしばりを自覚することがとても重要なのです。



3 タッピング

上下の歯をぶつけ合って、カチカチと噛み合わせるタイプです。 タッピングは、歯ぎしりのタイプとしては比較的珍しく、歯や顎へのダメージも、グランディングやクレンチングと比べれば、それほど大きくはありません。 寝ているときも、起きている時も起こりますが、カチカチと音が鳴りますので、自覚しやすいタイプと言えるでしょう。


タッピング
カチカチという音がするタッピング



歯ぎしり・食いしばりの悪影響

つめ物が取れやすい

強い力で断続的に歯を揺さぶることで、歯とつめ物を接着しているセメントが少しずつ破壊され、つめ物が外れてしまうことがあります。 つめ物が取れてしまう原因としては、他にも、接着がしっかりできていなかった場合や、つめ物と歯の間が虫歯になってしまった場合なども挙げられますが、取れたつめ物の下が虫歯にもなっておらず、かつ、何度詰め直しても頻繁につめ物が外れてしまうような場合は、歯ぎしりが原因である場合が多いです。 キレイに外れた場合はそのまま詰め直すこともできますが、調整のために歯を削らなくてはいけないこともありますので、その分、歯はダメージを受けてしまいます。 また、頻繁に歯科医院に通わなくてはいけない状態は、時間的にも費用的にも負担が大きくなってしまいますので、根本的な改善が必要となります。


インレーが脱離する
詰め物が変形して取れてしまう

歯の根元が削れ、知覚過敏を起こす

歯ぎしりにより強い力が加わると、歯と歯茎の境目に部分に応力が集中し、歯の根元がくさび型に欠けた状態(くさび型欠損)になります。 エナメル質が破壊されてしまいますので、象牙質が剥き出しになり、しみやすく、また虫歯にもなりやすくなります。 対処法としては、プラスチックで欠けた部分を埋めるという方法もありますが、歯ぎしりの力が強いとまたすぐに外れてしまうため、きわめて短期的な対策にしかなりません。 放置していると、神経が死んでしまうこともありますので早めの根本解決が必要です。 歯を支えている骨が溶け、歯周病になりやすくなる 歯ぎしりによって過度な力が加わり、歯が揺さぶられると、歯周病菌による炎症がなくても、歯槽骨が少しずつ失われていきます。 ここにさらに、歯周病菌による炎症も加わってしまうことで、歯周病が悪化しやすくなってしまいます。 歯周病の治療を行なっていても、歯ぎしりによって歯槽骨がダメージを受けている状態では、なかなか歯周病が改善しないケースも多々ありますので、歯ぎしりの傾向がある方は歯周病治療と併用して夜間のマウスピースの着用が必要になります。


神経をとった歯の根の先が炎症を起こす(歯根膜炎)

歯根膜炎とは、歯の根の周りある歯周組織を構成している膜(歯根膜)が炎症を起こしてしまっている状態のことを言います。 歯ぎしりやくいしばりなどで歯や歯根に強い力が加わり続けると歯根膜に負担がかかってしまうため、歯根膜炎が起こり、歯茎が腫れたり、歯が浮いたように感じたり、噛んだ時に痛みを覚えるようになります。 歯の根が割れてしまう等といったトラブルが起こる前のサインともいえる症状ですので、おかしいと感じたらと感じたら早めに相談するようにしましょう。 歯が割れてしまう。

特に、神経をとってしまった歯の場合、歯ぎしりの強い力に耐え切れずに歯の根っこの部分まで割れてしまうことがあります。 歯が割れてしまうと、噛むたびに痛みを感じたり、歯茎がはれたり、上の奥歯の場合は頭痛を引き起こしたりと日常生活にも大きな支障が出てきます。 ほとんどの場合が抜歯をすることになってしまいますので、そうなってしまう前の対策が重要になります。


当院での治療法

マウスピースの作成

当院では、歯ぎしりや食いしばりによる強い力から歯を守るために、就寝時に、歯ぎしり対策用のマウスピースを装着することをおススメしております。 歯ぎしり対策用のマウスピースには市販されてるものもありますが、使い方によっては、噛み合わせや歯並びを悪化させてしまう危険性もありますので、歯科医院にてご自身の歯にぴったり合ったものを作成してもらう方が良いでしょう。 保険適用の範囲内で作成できるタイプのものもありますので、3割負担の方でしたら5,000円程度で作成することができます。


噛み合わせ治療

歯ぎしりや食いしばりが起こる原因として、噛み合わせが悪い場合があります。 そのような場合は、噛み合わせを調整してあげることで、歯ぎしりを緩和させることが可能です。 噛み合わせが原因である場合は、歯ぎしりだけではなく、頭痛や肩こり、腰痛など、他の全身症状も併発していることもあります。


口の周りのマッサージ

歯ぎしり、食いしばりがある方は、顎や頬などお口周りの筋肉がとても緊張しています。 その筋肉の緊張が、頭痛や肩こりを引き起こしたりする場合もありますので、その筋肉の緊張を緩和させるためにお口の周りのマッサージをし、リラックスさせてあげることも有効です。


近年、急増しているTCH(Tooth Contacting Habit、歯列接触癖)

上記でご紹介しているように、正常な人の場合、普段リラックスをしている時は上下の歯は接触しておらず、2-3ミリほど離れている状態にありますが、中には、何もしていない時にも上下の歯が接触させる癖をお持ちの方もいらっしゃいます。 このような癖は、TCH(Tooth Contacting Habit、歯列接触癖)と呼ばれ、最近急増している顎関節症とも深いかかわりを持つ症状として注目されています。 TCHは、タイプとしては、クレンチング(食いしばり)と似ていますが、食いしばりのように大きな力がかかっているわけではなく、ただ上下の歯が接触している程度なので、ご自身はもちろん、周りの人も癖に気が付きにくいのが特徴です。 THCがある人の場合、舌の側面がデコボコする(舌圧痕)、頬の内側に白いスジのようなものができる(頬圧痕)、歯ぐきの骨が膨らむ(骨隆起)、などといった症状が現れる場合もあります。 気になる症状のある方は、まずはご相談にいらしてください。

TCHの方は、まずは「自覚」することから始めましょう 無意識化で行われる癖を治すのは、そう簡単にできることではありません。 上下の歯を接触させないように気を付けるといっても、そもそもご自身がその癖を行っている事に気が付いていない事がほとんどですので、癖を治すには、まずはご自身がTCHをしていることを自覚していただき、理解してもらう必要があります。 例えば、常に目に入る場所にポストイットやシールを貼って気づいたら歯を離すようにするなど、無意識で行っていた癖を意識させる訓練から始めます。 平常時に上下の歯を接触させないよう意識していただくことで、TCHに付随する歯のトラブルも、だんだんとおさまってくるようになります。



歯ぎしりセルフチェック

舌と下顎の変化を見てみよう

歯ぎしりは歯に強い力がかかるため、歯が壊れないように歯を支える骨がとても発達します。

お口を開けたとき、歯の内側に凸凹した歯ぐきはありませんか?

これは悪い病気ではなくて、歯ぎしりによって骨が大きく張り出したものです。

これだけ見ても歯ぎしりの強さがわかると思います。


下顎骨隆起
口を開けて見てみてくださいね🎵


また舌にも変化があります。

下の脇が凸凹していませんか?

これは歯ぎしりをするとき、無意識に舌を歯に押し付けているため歯の形に沿って波状の圧痕となっています。

舌の脇はこういった刺激にさらされることが多く、舌の部位別ではがんができやすい位置になりますので長い目で見て対策をしてあげられるといいですね。


舌圧痕
舌に痕はありませんか?

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